新しい21世紀の経済セクター ソーシャルエコノミー

 

 現在の経済社会は、営利を追及する私的企業と公的目的を追及する公的機関(政府、自治体)等が経済システムを牛耳っている“2セクター”経済社会“といえる。NPOやボランタリー団体の役割が最近注目されるようになってきたが、経済的には、これらのセクターに依存しがちなボランタリーな団体が多い。

 ソーシャルエコノミーは、非営利、ボランタリーのNPOと営利追求の私的企業、そして公的機関の中間的な位置に位置付けられる新しい経済セクターである。

 

 ソーシャルエコノミー とは

*  非営利だが、経済活動を行い、経済的に自立                    

*  目的は、社会、公的利益の追求

*  メンバーやコミュニティに民主的な形で所有された経営体

 

具体的には、

*    コミュニティビジネス

*    ワーカーズコーポラティブ

*    デベロプメントトラスト

*    クレジットユニオン

*    LETS/エコマネー             


 があげられます。  

 

 

コミュニティビジネスーーーコミュニティのメンバーが所有する企業、コミュニティに利益が還元される。地域に必要なグッズ、サービスの提供を行う。

                     コミュニティショップ、ファーマーズマーケットなど

ワーカーズ・コーポラティブーー労働者が所有する企業、利益は分配されない。

   デベロプメントトラストーーコミュニティが建物を所有し、その建物を活用することによりビジネスを行うもの。コミュニティの経済活動のための地域資産を形成。

   コーハウジングーー一定の地域の住宅を団体全体が土地・建物の所有権を有し、住民は「シェア」を購入

   クレジットユニオンーーコミュニティのメンバーが会員となり、会員にのみ融資が行われるコミュニティファイナンス

    LETS:エコマネーーーー当該地域にしか用いることのできない地域貨幣を導入し、地域のコミュニティの活性化を図るもの。


 などがあげられる。

 

 これらのソーシャルエコノミーが果たす役割は

プライベートセクターや公的セクターが提供できないサービスを当該コミュニティの実情に即した形での提供

 地域のお金を地域の中で循環させることを通じて、地域のコミュニティを活性化し、地域経済を発展させる。

 コミュニティの活性化、キャパシティビルディング、地域の民主化の促進

経済的に衰退した地域において、主流の経済とコミュニティとを結びつける働きをする。

 

 現在ヨーロッパでは、EU,政府がソーシャルエコノミーの確立を推進しており、社会構造基金等による補助金等により数多くのソーシャルエコノミーが支援されている。例えばイギリスでは、地域再生のための予算SRBやNew Deal for Community等の予算で様々なソーシャルエコノミーが立ち上げられている。特に盛んな分野は、デベロプメントトラストによる育児、レジャーサービス、職業訓練、リサイクル、リユース等の環境関係の活動である。

 

 

 イギリスにおける支援組織の例

 イギリスには、地域によって相違があるものの以下のような組織がソーシャルエコノミーの支援を行っている。

 地域のデベロプメントトラスト、

 コーポラティブ開発庁(Co-operative Development Agency:チャリティ)

 田園コミュニティカウンシル(Rural Community Council:チャリティ)

 クレジットユニオン

 地方自治体

 Local Investment Fund(DETRが中心となって設立した基金)

 地域ネットワーク組織 (例 Bristol Area Community Enterprise Network(BACEN))

 

 例えば、ブリストルでは、自治体とネットワーク組織が中心となって様々な支援活動が行われている。ブリストル市は、国やヨーロッパの基金の獲得や、社会、コミュニティサービスを通じた具体的な支援を行っている他、コミュニティエンタープライズ、LETS,コーポラティブ、クレジットユニオン設置のためも財政的援助を行っており、今後は、全てのソーシャルエコノミーの活動を監査し、その活動の障害となっているものを明らかにし、より積極的な政策を導入していくこととしている。

 デボンでは、カウンティの経済開発計画の中にソーシャルエコノミーを位置付けることにより、コミュニティエンタープライズ、クレジットユニオン、コーポラティブの支援を行っている。カウンティの出資により独立したコミュニティエンタープライズユニットを設置し、コミュニティエンタープライズ設置のためのソフト支援を行っている。

 

 イングランドの南西地域におけるソーシャルエコノミーの推進政策

 イングランドの南西地域においては、イングランド南西地域開発庁(Regional Development Agency)や南西部コーポラティブカウンシル、デベロプメントトラスト協会等関係組織のパートナーシップのもとで、この地域でソーシャルエコノミーを推進していくための計画が2000年8月に策定されている。これによれば、

1.         ソーシャルエコノミーのそれぞれの活動に係る質の基準のフレームワークの開発

2.         ソーシャルエコノミーで働く人々、起業家の教育、訓練、開発の機会の提供

3.         ソーシャルエコノミーを支援するコミュニティファイナンスの設置

4.         地域でのサポート機関を通じた効果的な支援

5.         研究と開発の調整

6.         支援機関の開発と強化

7.         地域の責任ある構造の創造

の必要性が提示されており、具体的には、3,4の地域の支援センターの設置とソーシャルエコノミーのネットワーク化が検討されている。